大学で仲のいい友達がよく鼻歌で歌う唄があるんですよ。
私は全然その曲知らなかったんですけど、そいつの地元では有名な童歌らしいんですよね。『そうちが』っていう曲らしいんですけど知ってますか?多分そこの方言か何かだと思うんですけど。
でもすげえどっかで聞いたことあるような、妙に耳に残る絶妙なメロディラインなんですよね〜…。
それでとある日の夜、その友人と2人で大学で教室に夜遅くまで残って作業してたんですよ。
しかしその友人がそばにいたせいか、その『そうちが』のメロディが頭に残ってた僕は、ふと口笛でそのメロディを口ずさんだんですよ。
そしたら
「やめろ!!!!」
ってその友人が突然、今まで見た事もない剣幕で怒ったんですよ。
「その曲で口笛を吹くな」
普段優しい奴だからめちゃくちゃビックリしましたよね。すると唖然とする僕に、
「来るぞ」
と一言。
「え?何が?蛇が?子供みたいなこと言うなよ」
「ちげーよ」
「『ちがうの』が来るぞ」
?????
ちがうのってなんだよと聞いても、「わかんない」の一点張り。マジでなんなんだと思いますよね。
どうやらそいつの地元では有名な話で、夜に『そうちが』を口笛で吹くと、蛇じゃない『ちがうの』が来るらしいんですよ。ちがうのってじゃあなんだよって聞いても、それも「わかんない」。そいつの地元ではこっくりさんをやっても、来るのはコックリさんじゃなくてどうやらその『ちがうの』らしいんですね。
彼の亡くなった祖父が、その『ちがうの』を過去に呼び出して、憑かれてしまっていたらしいんですね。
『ちがうの』に何かされたのか?と聞いても「何もしてこない」と。
ただ、「なにもされないけど至近距離で凝視されている感覚だけがいつまでもいつまでも離れてくれない」と言っていたそうです。
そしてその彼の祖父が病気で亡くなるという時、死の間際で
「来た」
と呟き、その瞬間に息を引き取ったそうです。
これが何を意味するのかは分かりませんが、彼が言うにはとにかく『ちがうの』を呼び出すようなマネはするな、ということでした。
とくに直接『ちがうの』を呼び出す行為が『そうちが』を口笛で演奏することと、彼の地元で「こっくりさん」を行うことらしいです。
何も起こらない、何も起こさないはずの「ちがうの」がどういうわけか畏怖の対象として語り継がれているのが不気味で仕方がないって言ってました。
まあ、そんな感じです。
この話は全部嘘です。
『そうちが』も逆から読んだら『ガチ嘘』です。