最近暖かくなってきたせいか、今朝とある悲劇が発生した。
起床後歯を磨き顔を洗い、トイレに行こうと扉を開けた。
すると空いた扉の端からこちらに向かって
「ササササササ…」
と何かが近づく音。
えっ!?な、なに?と思って向けた視線の先には…。
ヤ ツ ガ イ ル ッ !!!!!
ソイツの名はゴキブリ。嫌われている。
以前「虫は蛾以外だったら別に平気」と語ったが、それは閻魔大王もドン引きするほど真っ赤なウソだ。
ゴキブリだけは話が違う。奴はいわば害虫の王。もはや他の昆虫とは比較にならず、私の中では特例としてカテゴライズされている。
そんな害虫の中の害虫が長い冬を乗り越え満を持して待望の今年初登場ランクイン。
私は発見から0.2秒足らずで奴から2m程の距離をとり様子を伺う。
ホシは現在私の5畳の部屋から玄関にかけての狭い廊下の上に鎮座し、沈黙中。このままでは外に出れない。学校に遅刻してしまう。
ヤツを始末しなくては…!!!!
でも私は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を読んでからというもの、怖くて生き物を殺せない。極悪人のカンダタは、死後地獄に落ちた際に、小さな蜘蛛を殺さずに助けたという生前唯一の善行のおかげで天界の菩薩から蜘蛛の糸で地獄から救いあげてもらったという。
だから私はできれば生き物を殺したくない。ゴキブリだって助けたら地獄におちた時その触角とかで助けてくれるかもしれないじゃん。まあ地獄に落ちる前提で生きてるのもどうかと思うが…。
少なくとも小学5年生ぐらいから蚊すらも殺した心当たりがない。
だから私はヤツを殺さず、外に追い出す!!
その為には、まず「捕獲」しなくてはならない…。
私は傍にあったじゃがりこの空容器を手に取った。これでヤツを押さえ込み、その流れで外にぶん投げる!!!
私は腹を決めた。
しかしそれを察したか、Gはものすごいスピードで壁を爆走し始める。
「速いっ!シャアか!?」
などと言ってる場合ではない。
ヤツが走りだすと同時に私も走り出し、空容器を振りかぶりヤツに向かって壁に叩きつけた!!!!
やったか!?
…否!!外した…っ!!!
その「黒い彗星」は私のじゃがりこアタックを回避し、天井の隅でこちらを見てゲラゲラと高らかに笑っている。
「や…野郎!!ぶっこぼしてやる!!」
何をこぼすのだ?私は混乱していた。
しかし天井に逃げられてはこの私の身長ではもうどうしようも無い。
とりあえずヤツが移動したおかげで部屋から玄関までの導線は確保できた。
なんか急にやる気失せた。もういいや。
以前買っておいた「コックローチ」というゴキブリ捕獲用の罠を奴の出現ポイントに設置し、私は家を出た。
「ゴキブリ」 は英語で「コックローチ」。
コックローチ同士仲良くするといい…。
でもベッドの近くだけには行かないで。
まあ、そんな感じです。