ひとり

 

「うわ〜ひとりじゃなかった!」と思う日が、いつか来たりするんだろうか。

 

誰にでも周りに生かされている部分がある。生まれてから死ぬまで人の助けを一切借りない人など、この世にはいないだろう。

 

今まで、それはもうたくさんの人に支えてもらってきた。しかし正直なところ、心の底から全員に感謝出来ていると、自信を持って言うことが出来ない。

私が「みんなとひとつ」になる事が苦手なために、必要以上に「ひとり」になり、お世話になった人まで蔑ろにしてしまう節がある。もちろん「ひとり」が過ぎるとあまり良くないということも、なんとなくわかっているのだけれど。

 

でも、例えばいつか結婚したり、子供ができたりしたら、「自分はひとりではない」と感じられる日が来るかもしれない。

 

とある詩の

「手と手をつないで ふたつになろう」

 

という部分を読んで「なんでふたつなの?普通ひとつになろう、じゃない?」とおもっていたけれど、

「ふたつになる」ということが、「ひとりとひとり」ではなく「ふたり」であるという意味を実感できる日が来たら、もっと素直に「ありがとう」が言えるのかもしれない。しかしまだその日は来ない。

 

先日、志村けんが亡くなった。

そのことを知ったときに全身にショックを受けてしまい、有名人の死で初めて涙が出た。

なぜそこまで好きだったのかと言うと、もちろんギャグや生き方が素晴らしいと言う部分もあるけど、

あんなにたくさんの人から愛されているのにもかかわらず、生涯を通してとても孤独そうな人だったからだ。

 

こんな事は言いたくないけれど、多分、死ぬ間際、彼はひとりだった。

それともそうではないと感じながら逝けたのだろうか。

小さい頃から千葉県の片田舎で勝手にシンパシーを感じていた私は、そこが気になって仕方がない。

 

あと少しで死んでしまうという時、走馬灯のように人生を振り返って、

「ああ、ひとりじゃなかったんだ」

と思えたらきっとすごく幸せなんだろうけど、もし自分がひとりでないならなるべく早めに気づきたいとも思う。

 

いつか来るかもしれないし、死ぬまで来ないかもしれないその日まで、私はいつものように一人きりでいるだろう。

 

 

そしていつものように生活は続く。

「うわ〜ひとりじゃなかった!」と思える日はまだ来ない。