私は「イイ声」らしい。
生まれつき持っている声帯だと思われがちだが、実は少し違う。
中学ぐらいに男子は声変わりを経験するのだが、その頃流行っていたのがドラマ「ガリレオ」である。
大学で物理教授をしている福山雅治が、刑事役の柴崎コウと共にスタイリッシュに事件を解決するあのドラマである。
中でもかっこいいのはドラマの盛り上がりで福山雅治が言う「実に面白い」という決めゼリフである。
このモノマネをした所、思った以上に似ていることに気づいた私は福山雅治ボイスで桜坂を歌ったりなど、自分の中で十八番の一発芸にしていた。
そう、私のイイ声の正体は、声変わりの時期に福山雅治の真似をして歌を歌っていたからなのである。
このイイ声とは自分でも扱いづらいじゃじゃ馬で、教科書を読めば教室の窓がビシビシとヒビ割れるぐらい低い響き、音楽の時間に合唱すれば、1人だけ音が合ってないやつがいるなと言われる始末。
今でこそこの声はあらゆる場面で武器として使っているが、思春期に胸の大きい女子がそれをコンプレックスと感じたように、面倒くさく感じたこともあったものである。
しかし「イイ声」とはまたアバウトな表現だ。
どうせなら「声がハンサムだね」とか「その声に抱かれたい」とか言ってほしい。
ただ一つ言っておく。
「声が」ハンサムと言われても何一つとして嬉しくはない……!!!!!
まあ、そんな感じです。