DEPARTURES

毎日寒い日が続いている。

寒い、といえばあの出来事を思い出す。それはまだ私が高校2年生の冬のことだった。

布団の中で丸くなっていた私は内股に両手を挟んだ。体の中でも密着していて暖かい場所だ。だんだん手が温まってきたので何気なくキンタマに手をやった。

 

「…あれ?」

 

1個足りない……。

 

「き、キンタマが、キンタマが1個無い!!」

 

2つでワンセットであるべきキンタマの感触が1つしかないのである。

 

キンタマが!俺のキンタマがあッ!!」

 

寒い事などすっかり忘れ、急いで布団を引っペがすと私は下半身を丸出しにした。友達の兄がバイクの事故でキンタマをひとつ潰した、という話を聞いたことがあったので恐怖した。そんな衝撃を与えた覚えはないが、大したことない衝撃で、知らず知らずのうちに傷つけてしまったりしたのでは!?という思いが頭をよぎった。

 

しばらくまさぐっていると奴はひょっこり現れた。

 

「あ…あった…キンタマがあったぞーー!!」

 

もう一個のキンタマは寒さのせいか上にあがり、体内にめり込んで隠れている状態だった。

こんなことがあるのか…。

キンタマセットを見つけた安心感からと下半身丸出しのせいで私は寒さという感覚を思い出した。急いでズボンを上げ布団に戻ると、もう一度キンタマがあるか確認した。キンタマは2つとも無事だった。

奴等はマナカナのように对で並んでいた。

 

「良かった…本当に良かった」

 

後にも先にもキンタマがめり込んでいたのはその1度きりである。しかし冬になるとその出来事を思い出して、ついついキンタマは無事かと布団の中で確認してしまう。今こうしている、この瞬間でさえも…どこまでも…限りなく…降り積もる雪と、あなたへの思い…。

 

※BGM globe「DEPARTURES

 

まあ、そんな感じです。

下ネタフルスロットルですみません。